公正取引委員会(以下「公取委」)の委員長は、去る2022年12月22日に開催された記者懇談会において、半導体産業のバリューチェーン、川上・川下産業全般について実態調査を行うことを明らかにし、2023年1月26日に行われた大統領の業務報告でも半導体産業における独占力の濫用行為を集中的に監視する旨を2023年業務推進計画として報告しました。よって、公取委は、年内に実態調査を通じて半導体産業の全般的な構造及び取引現況を把握し、競争制約要素らを点検することと予想されます。
I. 公取委による2023年業務推進計画の報告
公取委は、2023年1月26日、「2023年の主要な業務推進計画」を報告し、4大核心課題の一つに「競争促進を通じたデジタル市場のイノベーション向上」を選定してイノベーション競争を阻害する独占力の濫用行為を集中的に監視することを明らかにしました。公取委は、半導体などのデジタル基盤産業において、競合他社の参入を阻止して事業活動を妨害する行為を重点的に点検することとされ、特に半導体産業に関しては、具体的に、長期供給契約強制行為の是正及び競争制限要因の実態調査について言及しました。
公取委の副委員長は、業務報告の事前ブリーフィングにて、半導体などデジタル市場における独占力濫用の問題に積極的に対応するとして、半導体産業に対する競争法的規制の意志を示しました。
II. 半導体産業実態調査の現況
半導体産業の実態調査は、公取委の市場監視局製造業監視課において進められることと確認されます。公取委は、(既存の業務進行方式に同じく)半導体産業の構造を把握するために第1四半期内に研究役務を発注し、実態調査の準備も行うものと思われます。
III. 今後の進行動向のモニタリング及びご報告
以上のとおり、公取委委員長が半導体産業における調査の意志を表明し、これを2023年の核心推進課題として大統領に報告したため、後続業務の推進が速やかに行われると予想されます。ただし、業務報告及び事前ブリーフィングにおいて半導体産業の調査計画が具体的に提示されていないため、引き続き公取委の実態調査の進捗及び半導体産業の規制動向をモニタリングしてお伝えするようにいたします。