最近、韓国の公正取引委員会において半導体の関連企業への規制を行おうという動きがあり、貴所のクライアントのうち、半導体関連の会社がいらっしゃる場合、業務にご参考にしていただけるよう関連内容を以下のとおりお伝えいたします。
公正取引委員会の委員長は、去る2022年12月22日に開かれた記者懇談会において「規模の経済が支配する半導体産業において、これまで競合他社を排除するためのグローバル・ビッグテックらによる試みが絶えず続いてきた」とし、半導体産業のバリューチェーン、川上・川下産業全般について実態調査を行うことを明らかにしました。公正取引委員会は、サムスン電子に部品を供給したブロードコム・インコーポレイテッドなど4社*(以下「ブロードコム」)の取引上の地位濫用の疑いについて同意議決手続を開始したのに続き、今後、実態調査を通じて外国企業の競争制限的行為による国内企業の被害の有無を重点的に検討することと見られます。
*ブロードコム・インコーポレイテッド(ブロードコム本社)、ブロードコム・コーポレーション、アバゴ・テクノロジーズ・インターナショナル・セールス・プライベート・リミテッド、アバゴ・テクノロジーズ・コリア株式会社(韓国支社)
公正取引委員会は、ブロードコムが、仕入注文の承認中断、船積み中断及びテクニカルサポート中断などの手段をもってサムスン電子にスマート機器の部品供給契約を3年間長期で締結することを強制した事案について調査し、ブロードコムが、2022年7月13日、同意議決の開始を申請し、公正取引委員会が2022年8月31日、同意議決手続を開始することを決めました。公正取引委員会は、ブロードコムとの協議を経て、①スマートデバイス企業への部品供給契約の強制、部品選択権の制限、競合他社との取引制限などを禁止して競争秩序を回復し、②200億ウォン規模の共生基金を造成して半導体分野の中小事業者を支援し、③サムスン電子が仕入れた部品へのテクニカルサポート及び品質保証などを約束する暫定同意議決案を設け、現在、利害関係者及び関係部処の意見収集手続を進めています。
公正取引委員会は、年内に実態調査をもって半導体産業の全般的な構造及び取引現況を把握し、競争制約要素らを点検するものと見られます。書面による実態調査を実施する場合、公正取引委員会は、調査対象者の範囲、調査内容、調査方法、調査手続などを記載したレターを調査対象者に発送し、調査対象者は、実態調査表の作成、アンケート調査、資料提出などの方法で実態調査を受けることになります。特に資料提出において、公正取引委員会は、調査対象者に資料の範囲や内容、要求事由、提出期限などを明確に明らかにした書面を交付した上、調査に必要な資料の提出を要求する可能性があるところ、かかる資料提出の要求に対して正当な理由なく資料を提出せず、又は虚偽の資料を提出した事業者などには1億ウォン以下、役員又は従業員などには1千万ウォン以下の過料が賦課されます。
実態調査が終了すれば、公正取引委員会は実態調査結果を公表し、これによって競争制限的行為が発見された場合には職権調査を行うことが見込まれます。実際に公正取引委員会は、代理店取引の実態調査によって発見された不公正取引行為について職権調査を実施し、不公正な取引慣行を是正しています。
実態調査の具体的な日程は、1月末に予定されている公正取引委員会の大統領への業務報告において確認されると予想されます。業務報告が行われれば、公正取引委員会の実態調査及び半導体調査の動向に関する内容を検討し、追って伝達いたします。
以上の内容をお伝えしますので、業務にあたりご参考にしていただき、これについてご不明な点やご要望などございましたら、遠慮なくご連絡ください。